症状の問診は、診察の上で非常に重要です。よくお話を伺うことによって、疾患をかなり絞り込むことができます。ここでは代表的な症状ごとに、私が思い浮かべる疾患（鑑別疾患）の主なものを挙げてみます。
ただし、これはあくまでも一つの目安であり、それぞれの疾患には他にも特有の付随症状や検査所見がありますし、ここに挙げていない疾患であることもあり得ます。さらに、症状の経過（いつから、どう変わったか、など）も重要です。したがって、実際にはより多くの情報を得て初めて診断がつくことになりますので、症状名のみから疾患を決めつけるのは危険である、ということにご留意下さい。
| 症状 |
考えられる疾患
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| まぶたの腫れ・しこり |
麦粒腫（ものもらい）、霰粒腫、眼瞼ヘルペス、アレルギー性結膜炎、
眼窩の炎症、眼瞼腫瘍
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| 目が赤い |
角膜や結膜のキズ・炎症、ドライアイ、結膜炎、球結膜下出血、虹彩炎・ぶどう膜炎
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| 目の表面の痛み・異物感 |
角膜や結膜のキズ・炎症、ドライアイ、角膜や結膜の異物、はやり目、上強膜炎
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| 目の奥の痛み・目が重い |
眼精疲労、ドライアイ、虹彩炎・ぶどう膜炎、副鼻腔炎（蓄膿）、緑内障発作（この場合は激痛）
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| めやに |
結膜炎（はやり目、アレルギーなど）、角膜や結膜のキズ、ドライアイ、涙嚢炎
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| かゆみ |
アレルギー性結膜炎、軽度の角膜や結膜のキズ
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| 白目の水ぶくれ |
アレルギー性結膜炎、眼窩の炎症
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| 涙目 |
角膜や結膜のキズ、ドライアイ（反射性流涙）、鼻涙管閉塞（狭窄）・涙小管閉塞・涙嚢炎（導涙障害）
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| 乾燥感 |
ドライアイ
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| 疲れ目 |
屈折異常、眼鏡の度数不適合、老視、ドライアイ
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| 全体にかすむ、見づらい（と一口にいっても、いろいろあります） |
遠見裸眼視力低下（近くは裸眼で見える）→近視
近見裸眼視力低下（遠くは裸眼で見える）→老視（遠視～軽度近視）
遠近ともに裸眼視力低下→老視の進行した遠視（または軽度近視）、乱視
遠近ともに矯正視力低下（度の合ったメガネをかけても見えにくい）
→角膜疾患、虹彩炎・ぶどう膜炎、白内障、硝子体混濁（出血など）、網膜疾患（眼底出血など）、緑内障、視神経疾患、頭蓋内の視路障害（脳梗塞など）、弱視
（実際の診察ではいろいろな検査によってこれらの異常を一つずつチェックしています）
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| 羞明（まぶしい） |
角膜のキズ、ドライアイ、虹彩炎・ぶどう膜炎、白内障、網膜疾患
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| 飛蚊症 |
生理的硝子体混濁、後部硝子体剥離、網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血
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| 光視症（光が見える） |
後部硝子体剥離・網膜裂孔、網膜剥離、閃輝暗点（ギザギザした光、数分から数十分以内に消失）
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| 変視症（中心がゆがんで見える）・小視症（小さく見える） |
中心性漿液性脈絡網膜症（いわゆる中心性網膜炎）、黄斑変性、黄斑上膜 、眼底出血
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| 中心暗点（見ようとする中心が見えない） |
網膜黄斑部疾患（黄斑変性、黄斑円孔など）、視神経疾患、閃輝暗点（数分から数十分以内に改善）
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| 中心暗点以外の視野異常（傍中心暗点・視野狭窄・視野欠損） |
硝子体出血、眼底出血、網膜剥離、網膜色素変性症、緑内障、視神経疾患、頭蓋内の視路障害（脳梗塞など）
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| 複視（ダブって見える） |
外眼筋麻痺（糖尿病によることが多い）、眼窩底骨折（外傷）、単眼性複視（乱視、白内障など）
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| 夜盲（いわゆる鳥目） |
網膜色素変性症、先天停在夜盲、小口病など
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| 眼球突出 |
甲状腺機能亢進症（バセドウ病）、眼窩腫瘍、眼窩血管異常
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| 眼瞼下垂（まぶたが下がる） |
眼瞼皮膚弛緩症、先天眼瞼下垂、老人性眼瞼下垂、動眼神経麻痺、ホルネル症候群（自律神経異常）
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| 眼位異常 |
内斜視、外斜視、上下斜視
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| 頭位異常 |
横目づかい症候、眼瞼内反（さかさ睫毛）、眼位性眼振、眼性斜頚
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