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千葉県眼科の加藤眼科です。日帰り白内障手術・緑内障治療・その他の眼科疾患に、経験豊かな専門医が対応します

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目の救急疾患

特に、夜間や休日の救急診療において注意すべき疾患について述べます。

痛みの強いもの

眼科救急で強い痛みを伴うものといえば、ほとんどは角膜障害です(もちろんけんか、スポーツ、事故などによる外傷もありますが)。その中でも代表的なのが、コンタクトレンズによる角膜障害です。多くはコンタクトが古かったり、装用方法や手入れが不適切だったりするケースです。
点眼麻酔をすると痛みは一時的に緩和されますが、点眼麻酔剤は角膜障害を悪化させますので、これを処方するのは論外であり、タリビッドなどの眼軟膏、または点眼を処方するくらいしか対処法はありません。鎮痛剤の内服は、あまり効きません。

金属を削る作業中に生じる鉄片などの角膜異物も、かなり痛いようです。
これは、ベノキシール点眼や点眼用4%キシロカインで表面麻酔をしてから、細かい鑷子などで摘出しますが、非常に小さい異物なので、肉眼では(特に普通の外科用鑷子では)難しい場合もあります。鉄片異物で時間がたったものはまわりに錆が生じており、この錆も含めて除去する必要がありますので、鉄片本体が除去できればよしとして、早めに眼科の受診を指導するのが望ましいと考えます。

うわまぶたの裏の眼瞼結膜異物も、痛みが強いです。うわまぶたをひっくり返してみると、まぶたのふちから少し離れたところ(異物溝と呼ばれています)に引っかかっていることがほとんどであり、異物を除去することによって痛みはすぐに軽くなります。上眼瞼の翻転さえできれば、比較的簡単な処置と言えます。念のため、抗菌剤の点眼を処方しておきます。

たまにあるのが、紫外線による角膜障害です。熔接を保護メガネなしで行うと、数時間以上たってから(通常夜間に)痛みが出現します。自分で熔接していなくても、そばにいて見ているだけでも発症することがあります。また、スキーの後に目が痛くなる、いわゆる雪眼も紫外線による角膜障害です。中には、日焼けサロンで受傷するケースもあるようです。前述の理由により点眼麻酔剤は処方できませんので、抗菌剤の点眼または眼軟膏を処方します。

最も緊急性の高いもの(受診前の処置が必要なもの)

◆ 網膜中心動脈閉塞症
片目の視力がほとんどなくなります。一瞬にして症状が完成すること、視野全体が真っ暗になることが特徴です。原因は血栓(血液の塊)などが、網膜中心動脈という細い動脈をつまらせてしまうために、網膜の血流が途絶してしまうことです。したがって、心房細動などの不整脈や、動脈の閉塞・炎症を持病とする方が多いです。症状が特徴的なので、問診のみで診断することができることも多い疾患です。
網膜は神経組織ですから、すぐに血流が戻れば視力も回復しますが、およそ20分もたつと回復が非常に難しくなります。したがって、この疾患の処置は一刻を争います。電話などで問い合わせがあったら、即座につぎのような処置を指示し、来院後に95%O2+5%CO2の吸入、ウロキナーゼなどの線溶剤点滴、前房穿刺(急激に眼圧を下げるため)などの処置を行います。発症からある程度時間がたっていても、時に回復する幸運な方もいらっしゃるので、回復の見込みがあまりない場合でも、状況によっては治療を試みる価値があるように思います。

【電話で指示できる初期治療】
・眼球マッサージ
目圧迫して解除する、という行為を数秒置きに繰り返すことによって、血栓などを飛ばす。
・Paperbag rebreathing
紙袋などを口に当てて、空気を呼吸する(表現は悪いですが、シンナーを吸引する行為を連想して下さい)。これにより、吸気中の二酸化炭素濃度が上るため血管が拡張して、血流が戻りやすくなります。

【まちがいやすいもの】
◆ 閃輝性暗点
主に脳底動脈系の血管攣縮のため、数分~20分位視野の中心が暗くなります。この疾患のポイントは、ぎざぎざした光のようなものが見えること、両眼性が多いこと、そして時間がたつと見え方が元に戻るということです。典型的には片頭痛による拍動性の頭痛を伴うといわれますが、眼科に来られる方は頭痛を伴わないケースが多いようです。よほど症状を繰り返す場合を除けば、特別な治療は行いません。

◆ 眼底出血・網膜剥離など
進行すれば視野が真っ暗になることもありますが、一瞬にして症状が完成することはまずありません。どんなに早くても数十秒から数時間はかかりますから、問診での区別は可能です。

◆ アルカリ眼外傷
熱傷や酸による外傷に比べ、アルカリ外傷は予後が非常に悪いです。アルカリ物質は組織への深達性が強いため、時間がたつと奥の方まで高度の障害をきたし、本来透明であるべき角膜が真っ白に濁ったり、まぶたが癒着して眼が開かなくなったりします。したがって、網膜中心動脈閉塞症と同様に、一刻も早く処置をしなければなりません。この場合の緊急処置は簡単です。少しでも早く大量の水で目を洗うこと、これに尽きます。洗面器に水をはってその中で目をパチパチさせるなど、というのでは足りません。水道の蛇口に目を近づけて、流水で10~15分以上目を洗うように指示します。
その後、眼科医の診察を受けるように指示します。眼科では、大量の生理食塩水で洗眼をしてから薬物による治療を行います。
どんな化学物質で受傷したかという問診は非常に重要であり、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)や生石灰、一部のトイレ用洗剤などアルカリ物質の疑いがあればこのような処置を指示する必要があります。

緊急性の高いもの(初期治療に注意が必要なもの)

【緑内障発作】
正式には急性閉塞隅角緑内障といいます。急激な眼痛または頭痛、吐き気、目の充血、視力低下が主症状です。頭痛を主に訴える場合もあるため、眼科以外で見逃され、CTスキャンなど頭部の検査を受けているうちに高度の視力障害を残すケースもありますので、注意が必要です。この疾患の可能性さえ頭に浮かんだら、診断は簡単です。目は明らかに充血していることが多いですし、器械で眼圧を測らなくても、まぶたの上から眼球を触ってみれば、片目が異常に硬い(眼圧が高い)のが誰にでもわかります。
この場合は緊急の薬物治療とレーザー治療、場合によっては手術が必要ですから、少しでも早く眼科の治療を受けられるように手配する必要があります。

【涙小管断裂】
まぶたのふちの目頭よりのところには、上下とも涙点という涙の下水管の開口部があります。この下水管(涙小管)は非常に細い管ですが、まぶたの裂傷がここに及ぶと、傷が癒着する過程で涙小管がつまってしまいます。そうすると、その後常に涙があふれ出る状態になりますので、その苦痛はかなり大きいものがあります。交通事故などの場合もありますが、今までにこぶしで目を殴られたケース、金属製のハンガーでまぶたをひっかけたケースなどを病院勤務時代に経験しています。

涙小管断裂に対しては、顕微鏡手術によって非常に細い糸(10-0ナイロンなど)を用いて断裂した部位に血管を縫うようにきちんと縫い合わせ、シリコンチューブを留置して癒着による閉塞を防がなければなりません。できれば24時間以内に手術をした方が良いと考えますが、眼科以外で縫合を受けるとまずこのような配慮がありませんので、あらためて手術し直すことになります。再手術は非常にやりにくいですし、治癒率も下がりますので、下手に縫合するよりは開放創のまま眼軟膏をつける程度の処置にとどめ、直ちに対処可能な施設に紹介した方が良いと思います。

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